関西大学システム理工学部情報通信工学研究室

IDLocator分離アーキテクチャを利用した異種ネットワーク間通信

 研究背景

 〜ID/Locator分離アーキテクチャ〜
  現在, インターネットにおけるルーチングは, 経路情報の増加に伴いスケーラビリティを問題として抱えている. 経路情報の増加していくことにより, ルータの容量, ルータの処理負荷の増加などが問題となっている. 現在も経路情報は増加し続けており, 現在,BGPによるルーチングテーブルの経路情報は30 万経路を超えている. 現在の経路情報の大部分は,prefix長24 ビット以上の小さなアドレス空間の経路によるものである. これは,マルチホームをはじめとする小さなアドレス空間の利用者の経路がインターネットの経路の半分以上を占めていることになる.現在のアドレス体系はホストを示すID と所属NWを示すLocator が一体となったアドレス体系であり, アドレス集約が効率的に行えないとい問題を根本的に解決することができない. そこで, 現在のアドレス体系にとらわれない,ID/Locator 分離アーキテクチャが注目を集めている. これは, ルーチング情報のLocator と端末情報のID に分割し対応付けを外部システムにより行う方式である. これより, コアネットワークでのアドレス集約がうまくいき, コアネットワークで扱う情報が削減される. またLocator 情報をインターネット上に広告する必要がないため, マルチホームによる影響が受けなくなる. このように,ID/Locator 分離アーキテクチャはインターネットのスケーラビリティ問題を解決する新たなネットワークアーキテクチャである.

 研究内容

 〜ID/Locator分離アーキテクチャを利用した異種ネットワーク間通信の性能評価〜
  ID/Locator 分離アーキテクチャでは,エンドホストはNW に依存しない固有のID を持つこととなる. このことをうまく利用すれば,ID/Locator 分離アーキテクチャの本来の目的である経路削減のみならず,それ以外のさまざまな面での効果が期待されている. つまり、ID/Locator 分離アーキテクチャでは,各エンドホストのもつNW に依存しない固有のID を用いて,ネットワーク層プロトコルの異なる複数のNW を経由した経路設定を行える. そのため,従来の同一NW 内でのルーチングのみならず,NW 間移動をどこで行うかという別次元でのルーチングが可能となる.本研究では,同アーキテクチャの効果をもたらす新しい利用場面として, 複数の異種NW を経由する異種ネットワーク間通信がユーザにもたらす影響について評価している.
   
関西大学システム理工学部情報通信工学研究室

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